異物の誤食
子犬の時は異物の誤食によることが多いです。特に好奇心の旺盛な子は要注意です。胃の中に物が詰まってしまったり、中毒性の薬物の摂取などにより、嘔吐だけでなく下痢も呈することがあります。幸いにして異物を吐き出してくれることもありますが、内視鏡や手術が必要になる事も多いため、異物グセのある子には細心の注意が必要です。わんちゃんはどんなものでも口にしてしまいますが、飼い主さんの匂いの付いたものや、甘いものなどは特に注意して下さい。
*レントゲン検査が必要になることが多いため、誤食した可能性が高いものなどがありましたら持参して下さい(薬の場合は能書きなども)。
下痢
寄生虫感染・ストレス・急な食事の変更・細菌バランスの失調などが主な原因として挙げられますが、様々な理由により発生するため「たかが下痢だから」と軽視しないでください。まず、ウンチ検査により寄生虫感染の有無・細菌バランスの確認を行ないます。また、異物の摂取などが無いかなどの確認が必要になります。一般に治療は内科的に行ないますが、難治症例などでは各種検査が必要になります。
*ウンチ検査が必要な場合が多いため、必ずウンチを持ってきてください。(乾燥しないように、ラップや袋に入れて来てください。)
嘔吐
先に述べた異物の誤食以外にも、頻回の嘔吐で来院するわんちゃんは多いです。原因は多岐に渡りますが、軽症では胃粘膜保護剤や胃酸分泌抑制剤の投与などで改善が見られます。しかし、難治症例では体重の減少や脱水、電解質異常など状態の悪化も見られるため、何回も嘔吐しているようなら早めに来院して下さい。
皮膚疾患
体が痒いとの理由で来院されるわんちゃんはとても多いです。原因は細菌感染による膿皮症、マラセチア感染による疾患、ノミ・ダニなどの外部寄生虫感染症、皮膚糸状菌感染症、アレルギー、アトピーなどが挙げられます。皮膚検査を行い確定診断に至る症例も多いですが、アレルギー、アトピーなどでは難治性で経過も長くなり治療が生涯にわたることもあります。そのため、診察では時間をかけて説明し飼い主様に納得いただく治療を提供いたします。感染症による皮膚症状では、原因に対する投薬をおこないます。
*外耳炎も皮膚疾患に位置づけられます。動物病院では耳の掃除で来院される子も大変多く、気をつけないと非常に悪化してしまいます。ひどくなると痛みも強く掃除させてくれなくなり、より悪化してしまい悪循環となってしまう事もあるため、早めに来院して下さい。
腫瘍
わんちゃんも高齢になるにつれて腫瘍の発生が多くなります。中でも乳腺腫瘍は発生数も多く、約半数が悪性といわれています。しかし、2回の発情前に避妊手術を行なうことによって高率に予防することが出来るので、早い段階で子供を生ませる予定が無いと思われているなら、若いうちの避妊術をお勧めします。
皮膚にも色々な腫瘍が出来ます。見た目では判断つかないことが多いため、バイオプシーと呼ばれる検査を行い、外科的に摘出するかを判断します。他にも、リンパ腫や白血病など例を挙げたらキリがありません。日々の健康管理や健康診断などを行い、早期発見早期治療がどのような腫瘍においても有効であることは間違いありません。
膀胱炎・膀胱結石
膀胱結石は、ストラバイト・リン酸カルシウムなどが主成分であることが多いです。原因はわんちゃんの体質や、食生活、細菌感染によるものです。治療は外科的に摘出することが多く、療法食による管理も必要になります。
膀胱炎は結石が原因になることもありますが、他に細菌感染や原因不明の突発性膀胱炎も多いです。来院の主訴は頻尿や粗相、血尿です。また、陰部を気にして良く舐めることで気付かれることも多いです。まず、おしっこの検査が必須になるため、わんちゃんのおしっこに異常が見られたら、清潔な容器に最低5ml位のおしっこをお持ちください。勿論、出来るだけ新鮮なものが検査に適しています。
*おしっこを直ぐに病院へ持参できない時は、冷蔵庫に保管してお持ちください。
(といっても、やはり抵抗ありますよねぇ〜〜。)
腎臓疾患
主症状は多飲多尿です。匂いの薄い透明なおしっこをすることで気付かれる飼い主さんが多いようです。腎臓はおしっこを濃縮して効率良く不純物を排泄しますが、腎機能の低下が起こるとそれが出来なくなり、沢山のおしっこをするようになります。診断はおしっこの比重や血液検査などで行ないますが、残念なことにこれらの検査で異常が出た際には腎臓は少なからずダメージを受けています。塩分の濃いおやつの多給などは悪化要因として考えられるため、与えすぎに注意しましょう。
ケンネルコフ
家に来て直ぐに咳やくしゃみをし出したら要注意です。若齢のわんちゃんはとても抵抗力が弱く、ストレスにも弱いため、環境の変化や温度変化などに対応できず体調を崩してしまいます。抗生物質の投与やネブライザー治療、栄養管理などを重点的に行ないます。原因はウイルス感染や細菌感染などが考えられますが、放っておくととても重篤化することもあり、治癒に長期間かかることもあるため、幼いわんちゃんのくしゃみや咳には注意して下さい。
これらに挙げた病気はほんの一部です。また、原因や治療法も主なものを述べたに過ぎないため、飼い主さんのわんちゃんに何らかの異常が見られたらお気軽にご相談ください。
|